Q19.もともと無口で感情表現が下手な夫が、がん罹患を機に、一層口を閉ざすようになってしまいました。そっとしておいたほうがいいのか、それでも何か声を掛けたほうが良いのか、どうしていいか分かりません。(Oさん・女性・60代)

無口なご主人が一層口を閉ざすようになってしまって、

どうしていいかわからず悩んでいらっしゃるのですね。

 

がん罹患はご本人にとっては大きなショックでしょうから、

たとえ身内にでさえ、話したくなくなるものなのかもしれません。

 

私自身もそんな時期がありました。

妻は私を励まそうと声を掛けてくれたりするものの、

こちらはそれに笑顔で応じることができない。

そんな日々でした。

 

その後、妻はあまり多くを語らず、

黙ってそばにいてくれるようになりました

 

そしてたまにこう言うのです。

「何か話したくなったら、話してくれればいいから」と。

つまり、私の主体性を重んじてくれるようになったんですね。

 

人はつい、「相手のために善かれと思って」

行動をしてしまいがちです。

 

ただし、本当に相手のためになっているかどうかは

本人でないと分かりませんし、

それは往々にして、自分本位になりがちです。

 

妻が私を励ましていたときも、

もしかしたら、その沈黙に耐えきれなくなって発言していたのかもしれません。

 

でもそれ以降は、ずっと沈黙に付き合ってくれるようになりました。

そして、たまに口を開く私に、「うん、うん」「そうだよね」と

相槌を打ってくれるようになりました

 

そして、私にはその関わりだけで十分でした。

そばにいて、うなずいてくれる。

それだけで心地よく、心強かったのです。

 

(了)

 

回答者:花木裕介(一般社団法人がんチャレンジャー 代表理事)