Q8.寄り添い方といっても、どうやればいいか分かりません。これで間違いない、というスキルやテクニックはありますか?(Dさん・女性・60代)


寄り添い方が分からないので、どんなスキルやテクニックを身につければいいのかを具体的に知りたいということですね。


確かに、ひと言に「寄り添う」と言っても漠然としていて分かりづらいですよね。私たちの法人では、「まず罹患者の声に耳を傾ける(傾聴)」ことから始めることをご提案しています。関わる方からの「良かれと思った」一方的なかかわりではなく、まずは罹患者の方が何を望んでいるのか、どんな思いでいるのかを理解してから、それらを踏まえてかかわるのが出発点だと思うからです。罹患者によって、それは皆異なるはずです。


さらに、出てくる想いや感情を「わがことのように感じる(共感)」ことも大切なプロセスだと思っています。思いを理解しようとしなければ、上辺だけの傾聴になってしまい、それはきっと相手にも伝わってしまいます。


私が治療に臨む際もこんなことがありました。最初は、私の話を聴いてくれていると思っていた相手が、いきなりふと、「それで実はがんにきくこういう商品があるんだけど……」と、私が話していたことと全く関係のない商品を勧めてきたことがありました。もちろん私もそんな商品紹介は望んでいませんでした。これなどは、つまり、私の話に耳を傾けてくれていたのではなく、自分の良かれと思う話をするタイミングをうかがっていただけなのですよね。


傾聴や共感に加え、あいづち、うなずき、質問、聞く姿勢の保ち方など、コミュニケーションには身につけておいた方がいいスキルやテクニックのようなものがあるのは確かです。


でも、私は、その前にまずは、「相手を想う気持ち」や「相手を理解しようとする気持ち」を持ちながら関わるその「姿勢」こそが最も大切なのではないかと思うのです。その姿勢が自然とにじみ出てくることで、相手の立場に立った傾聴や共感といったコミュニケーションが取れ、結果、相手の方に、「あー、寄り添ってくれている」と思ってもらえると思うのです。スキルよりも想い。参考にしていただけたら幸いです。


(了)


回答者:花木裕介(一般社団法人がんチャレンジャー 代表理事)